ここ数年、台風さんは徳島では鳴りを潜め、すっかり油断していました。台風は怖い、ということを。
この時期のみかんは、実も大きくなってきていて、たわわになっている木の枝は重そうに垂れています。木の枝を握って揺すると、その重さが分かるくらい。重そうだし、早く収穫してあげたいと思うくらいに重くなっています。
しばらく台風が来ていなかったからか、みかんがたくさん実っている樹が何本かやられてしまうだろうという想定はしていたのですが、いざ台風が来て、みかんの木々が揺さぶられていると…
やばい、みかん折れる!苗木引っこ抜かれる!!うおー----みかんたち何とか耐えてくれーーーーー!!
と、冷静ではいられなくなるし、築100年超の古民家に住んでいるということもあって、強風が吹く度に家の隙間から家の中に風が吹きあがり、家が揺れ、身の危険も感じながらも、ただただみかんたちを見守ることしかできませんでした。いつ復旧するか分からない停電で電化製品は使えないし、窓辺で本を開き、気を紛らわしながらも、横眼ではみかんの木々をチラチラと見守る。風がおさまるまで、しばらくその状態が続きました。
家の中を突風が吹き、揺れる度に屋根が吹き飛ぶんじゃないか、家が傾くんじゃないかと何度も恐怖を感じました。家は土砂災害警戒区域にも入っているので、キキクル(気象庁の危険度分布図)で確認しながら、暴風を伴う台風が過ぎ去るのを待ちました。
そうして、ようやく過ぎ去った台風。家や家の周りは特段大きな被害ありませんでした。良かった…。けれども、いよいよ畑の見回りです。被害は最小限であってほしい…!!
家の周りの畑は、農道が塞がれることもなく、大きな被害はなさそうでした。強風で、みかんが実っている枝が揺れて、重さで小枝が折れるくらいだったかもしれないと、この時は少しホッ胸をなでおろしていた。
が、しかし!園地を隅々まで見ていくと、何本も木が折れちゃってる…!風の通り道になっちゃってたところや、カミキリムシで根元の幹の部分が弱くなっちゃってた木のうち、沢山実っていて木全体が重くなっていた木などが折れてしまっていた。
そしてファンの多い、チャンドラポメロも強風で枝ごと千切れて何個も落ちてました…悲しみ…1本しかないのに…
あと、回復を見守っていたレモンも根っこごとこけてしまった…。レモンは2本しかなかったのに、これで1本だけに…復活の道のりは遠い…。
家の被害はこんな感じで、他の園地も見回りに行きました。気合いを入れて出発したが、そもそも家から下りられなかったことに気付く…。ああ~…。
【朗報】4か所ある家から離れた園地のうち、2か所は小枝が折れるくらいでほぼノーダメージ!残り2か所も家の周りよりも被害本数は少なかった!!
ただ、離れている園地の2か所は段々畑状になっていなくて、開けている畑なので、今回の台風の風の強さを感じる被害でした。台風の風、怖い…ガタブル。
コレ。木の一部じゃなくて、根本からボキッと折れてるんです。そして、処理するために道まで持ってきたわけじゃないんです。図解するね。
こんな感じで、強風で折れて、そのまま飛んでって道に落ちたんです。見た目は軽そうに見える木だけど、とても重いので、これが頭にズガーンと落ちてきたら怪我します。
これを見つけた時に、気になるからって台風の最中、畑に行っちゃダメだなって思った。キケン。
みかん農家になって、台風の被害はこれまでも、もちろんあるけれど、暴風の怖さというのをとても実感しました。きっとみかんの実も、この暴風で揺れ、傷ついている実もあることでしょう。もしかしたら今年は傷が多いかもしれません。
台風が通ることによって、みかんを食害するダニ類は死にます。これは良いことだけれど、一方、大量の雨によって山の木々の花粉が落ち、その花粉を食べていたカメムシがお腹を空かせて、山から畑にやってきて、みかんを食害していく可能性があります。台風が過ぎ去った後も、また台風が発生するかもしれませんし、みかんの収穫が終わるまで予断を許さない状況は続きます。農作物はどうしたって自然の脅威にさらされます。この脅威たちに何とか対処しながら、みかんたち自身も様々な困難を乗り越え、ようやく皆さんの元へ届きます。みかんの収穫まで、あと1カ月半!どうぞ見守っていてください。
と、暗い話が続いたので、すだち収穫中に出会った生き物たちをポストしておきます。突然出会うから、こっちは「おお!」ってなるよ。
今年もすだち楽しんでくださった皆さん、ありがとうございました!
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