夫婦で出張!実際に移住したから分かる、ホントの話@三重県玉城町

先日、三重県は玉城町に出張してきました!

昨年あおとくるで開催した全国床張り協会・徳島支部の床張り合宿での出会いがきっかけ。

「町内での移住施策を進めていく中で実際に移住した夫婦の話を聞きたい!」ということで、夫婦揃って呼んでいただきました。

三重県玉城町

玉城町は、三重県の松坂牛で有名な松阪市、そして伊勢神宮がある伊勢市から車でわずか5分。三重県の県庁所在地である津からも車で30分。という絶妙な立地で最近ファミリー層のベッドタウンとして人気の町!地方は人口がどんどん減って…と言われている中、順調に人口が増え続けている珍しい町なのです。

松坂市も伊勢市も企業が集まる街だし、玉城町にもPanasonicさんとかね、鍵で有名な美和ロック(MIWA)さんとか、プリンタートナーの京セラさんがあるんです。

でも、松坂市や伊勢市は土地や家賃がそりゃお高め。

ファミリーで戸建てマイホームに住むんだったら、ちょっとお値段お安めで?駐車場も確保できちゃって?通勤にも便利で?子育てするにもしやすくて?のどかな自然がちょうどあって?

毎日新鮮で美味しい食材が手に入る産直があって?

しかも温泉も入りに行けちゃって?(こちらの玉城弘法温泉は特にお肌に良いそう)

それが玉城町!私も住みたい!(え)

しかもね、これだけじゃないの玉城町。

熊野古道、伊勢本街道、初瀬街道という3つの街道の起点地だから、宿場町として栄えた名残があって、田丸城の周りを散歩するのも楽しいの。春の田丸城は桜のトンネルが出来て気持ち良くって、天辺からは玉城町が見下ろせちゃうの。

ごはんも美味しくって!特に農畜産物は、玉城豚が安いのに美味しくて美味しくて。産直市には工房があって、何とウインナーの種類がドイツ並み。ドイツ産のカレーケチャップやマスタードも売ってるし…。売り場はこんな感じ↓

しゅ、種類が豊富すぎる…!!なに、このウインナーの種類!さながらドイツ。

この産直、実は地元の畜産農家さんたちのグループが運営していて、この施設でウインナーも加工されてるんです。実際にやっているところも見学できるようになっています。体験も出来るから、次に玉城町を訪れた時は是非やりたいと思ってます!

もちろん、お肉だけじゃなくて、新鮮なお米や野菜もあって、パンまでカバーされているから(何と、パン工房併設!あ、レストランもあるよ)何かもう、この町、ホント移住政策しなくてもいいんじゃないのというくらい、魅力的なほど良い田舎で「いいなぁ」「いいねぇ」を連発しまくる我々夫婦なのでした。ちなみに温泉は産直の真横。買い物ついでに入浴できちゃうという…。なにここ天国か!

人口は、私たちが住んでいる勝浦町(人口5,000人程)の3分の2という面積にも関わらず約15,000人程いて、毎年人口は増え続けているんだもん。松阪市と伊勢市の間にはさまれた、けれども里山ののどかな風景も残るという、ファミリー層のベッドタウンには最適な町なので、土地を分譲するとすぐに売れちゃうらしい

え、

え、ほんと、

移住施策、しなくてもいいよね?

という疑問を抱きながら、玉城町役場の中へと入っていく我々なのでした。

なぜ玉城町が移住施策を試みるのか

ここから一気に真面目なお話。

ここ数年、松坂市と伊勢市のベッドタウンとして人気な玉城町。待機児童もゼロなので小さなお子さんがいるご家族が分譲地を購入して夢のマイホームを建てるのが良い例なんだとか。地方の人口減少がもっぱら叫ばれている中、ここ数年、人口はうなぎのぼり。これは全国的にも珍しいことなんです。

え、じゃあ、どうして移住者を増やしたいの?

その真相は農業にありました。

玉城町は大きく4地区に分かれていて、3地区は分譲地などで順調に人口が増加しているのですが、1地区だけ農業が中心の地区なので分譲地がなかなか作れない。高齢化が進む昨今、必然的に人が少なくなってきてしまっているのです。

このまま人口が減ってしまったら訪れる、その地区の未来は、

・玉城町のブランドいちごの消滅

どこの地域でも問題となっている、農業の後継者不足。特に玉城町ではいちごがブランド化されています。人口減少が起きている地区こそが玉城町のいちごの産地。現在も最盛期よりもいちご農家の軒数が減っており、このままいくと近い将来2軒しか残らないと言われています。

・小学校の廃校

当然、農業を後継しなければ、町外に職を求めて出る人が増え、新しく移住してくる人がいなければ子供は減っていきます。母校がなくなることほど悲しいことはありません。

・空き家の増加

空き家となった家をそのままほおっておくと、誰も住めない廃墟となります。空き家ばかりの地区って何だか寂しいですよね。

今はまだ、地区全体に危機感はありません。町全体では人口が増加しているのだから。それでも、この地区の人口が減ることによって、将来的に何らかの影響は出てくるでしょう。それは町の税収だったり、公共サービスの縮小だったり。

国土交通省が人口減少が引き起こす悪循環を分かりやすく図解していました。

参考元:国土交通白書 2015

生活の利便性って病院も含まれますよね。病院が遠いのは何かの時に心配。そして地域の魅力の低下って、そこに暮らしている人にとってかなりツラいよ…。子供が一度出て行ったら帰ってきませんよね。改めて図で見てみると、人口減少ってマイナス以外の何ものでもない。しかも人口減少が人口減少を生むというまさに悪循環!

そんな未来を危惧した町長が、町内全体の人口が増えている中で、移住施策をしようと声を上げました。この施策の中で力を入れているのが、農家の後継者としての移住者を集めること。

ここでやっと私たちの出番!移住するにあたって、夫婦でみかん農家の後継者となった私たちが、農業を仕事とするまで、そして実際に2年間農家としてやってきて感じたこと感じていることを包み隠さずお話してきました。

いちご農家の後継者育成事業

玉城町では、いちごの後継者不足が課題となっていました。そこで町が提案したのが、現役のいちご農家さんのもとで栽培から出荷販売の仕方までの一通りのノウハウを学びながら、地域おこし協力隊として活躍できる、という素晴らしい環境!!

地域おこし協力隊として就業するので月々のお給料もありますし、いちご栽培をじっくり任期中に学ぶことができます。地域おこし協力隊を卒業した後は、いちご農家として独立できるようにハウス建設や農地の借り入れ支援などの制度も整えられています。

月々きちんとお給料がもらえる上に、いちご栽培のノウハウを実践的に教えてもらえるだなんて…。なんて至れり尽くせりなんだ!!私たちがやりたいくらいだよ!!(え)

というくらい魅力的なんですよ、皆さん。なんでかって言うと、農業をイチから始める人の最大のネックを、地域おこし協力隊として入ることによってクリアしているということが一番のポイントなんです。

移住して、農業を経営しているから分かるホントの話

農業っていうと、どういうイメージですか?

今やこのようなマイナスイメージだけではなくなってきましたが、高齢化の進む昨今、おじいちゃんやおばあちゃんが細々とやっているというイメージがあるかもしれません。それゆえに、「農業ってちゃんと食べていけるの?」という疑問が一番に思い浮かぶのではないでしょうか?

でも、実は農業ってかなりビジネスとして計算しやすいんですよね。

私たちも移住を考えている時に、ナリワイとしての農業を検討した時期がありました。でも農業を始めるのって、それこそビニールハウスを建てたり農具を揃えたりと初期投資がざっくり1千万円くらいかかるという話だったので、貯金もない20代、JAから借金しても返せるのかなぁという不安もあり、移住した先の職業としては考えていませんでした。しかも農産物を採って販売するまで収入も入らないし、貯金がかなりないと難しいよね!無理無理!やめよ!と、農業は選択肢から除外。もちろん私たちは農業を一度も学んだことがありません。栽培が出来るかどうかというよりも、お金の運用が一番のネックだったんです。

・農機具や施設への初期投資

・収穫までの生活費の確保

栽培する作物にもよりますが、たぶんこれが農業をやるやらないか判断する最大のハードル。

しかも、農業って割とどんぶり勘定なところがあって、きちんと数字を出している農家さんって案外少ないんですよね(特にご高齢の方々)。だからこそ私たちが後継者になるかどうか判断する際は、出納帳を見せてもらい、実際に生計を成り立たせていくことができるのかをしっかりと試算して決めました。

試算した上で後継者となり、いま実際に農家として経営して分かったことは、農業ってビジネスとしてかなり計算がしやすいということ。計算がしやすいということは計画的に事業運営や計画、拡大がしやすいということです。

農業は、一つの作物の大体の単価が決まっています。その作物単価×農地の広さ(作物がどれくらいとれるのか、所謂収穫量)が売り上げなんですね~

ね、計算しやすいでしょ。この売上から、肥料や農薬などの経費を引けば、その年の収益をざっくり計算できちゃうんです。もちろん天候や自然災害にも左右されますが。また、作物の収穫時期が決まっているので年間スケジュールも立てやすく、会社員より確実に休暇が取りやすいです(笑)これを知った今では、新規就農ってかなりポジティブで、トライしやすいよなーって思います。

このお金の部分がはっきり情報として出ていないので、農家という職業に就こうと思う人が少ないんじゃないかなと思います。もちろん向き不向きもありますが!そもそも土いじりや虫が嫌いな人とか無理なお話だし。

だからこそ、地域おこし協力隊として農業を始めるっていうのは、移住して農家になりたいという人にはかなり良いソフトランディングになると思うんです!自分にとって向いているかどうかも協力隊の期間に判断することもできますしね。

地域おこし協力隊として地域に入っていくので、町の人たちからも助けてもらえますし、知らない土地でイチから農業を開始するよりも、かなり農業がやりやすい環境です。月々のお給料が入ってくるというのは本当に利点だと思います。

私たちは後継者としてみかん畑を継ぎました。先代に教えてもらいながら、周りのみかん農家の先輩方からも沢山教えてもらっています。町の移住担当の方が地域に入り込めやすいような機会を作ってくれて、友達も増えてきました。だからこそ、農業をやったことがない夫婦が、誰も知り合いがいない土地で、楽しみながら生活をしていくことが出来ているんだと思います。でも月々の給料がないので、移住してから収穫までの約1年程は生活費ギリギリでした。新規就農者向けの給付金をもらって何とかやりくり出来たのが現実です。だからこそ、地域おこし協力隊という枠で独立するまで学びながら準備が出来るというのは、農業をイチから始める者にとって最高の環境だと思います。

残念ながら、昨年はこの事業にマッチングする人がいなかったのですが、また今年度も募集をかける予定だそうです。

そこで私たち夫婦が、今年度の募集に向けて、いちご農家の後継者を作る事業として地域おこし協力隊は魅力的なのか、マッチングを成立させるまでにどういった点に着目したら良いのか、マッチングまでにどのような情報を提供するのが良いのか、ということを、このプロジェクトに関わっている皆さんからの質疑応答という形でお話させて頂きました。

農業をナリワイとする移住者を増やすには

農業を仕事として移住する人が今後は増えてくると思っています。というか、増えなければ農業従事者が減り、国産の野菜や果物が減ってゆくばかり。消費者レベルでは価格の高騰、輸入作物ばかりが並んだスーパーに行かざるを得ません。地方は主幹産業が農業という地域も多いので、農業従事者が減ることで税収が下がり、行政サービスの低下、さらなる人口減少を招く可能性があります。

徳島でも農業の後継者としての地域おこし協力隊を募集しているところがあります。それぐらい農業従事者の減少は危惧されていることなんです。でも、こうして地域おこし協力隊として農業に従事できる人はほんの一握り。もちろん地域おこし協力隊としてソフトランディングできるといっても、農業をしたことがない人にとっては、かなり勇気のいる決断だと思います。

農業をやってみたい、と思っている人は増えていると実感しています。それでも一歩足を踏み出せないのは、農業でどのように生計を成り立たせることができるのか提示されている情報が少ないことが一つの原因ではないでしょうか。普通の企業だったら、年収がいくらで、ボーナスがいくらで、福利厚生はどうで、と明記されています。でも、農業ってないんですよね。だって個人事業主だから。要は起業とおんなじなんです。慣習的に見えない部分が多いから、判断材料が少なくて足を踏み出せない。農地って借りれるのかな?農業の収入でちゃんと食べていけるのかな?そこが明示されていれば、検討してみようかなって人が増えると思うんです。

私も実際に農家になる前は、後継者不足の問題や人口減少の問題なんて、少しも考えていませんでした。実際に問題に直面しないと、人口減少がもたらす未来に危機感って抱けないんじゃないかな?この問題を聞いて、知っているけれども誰かがやってくれる、何とかなるだろう、って思ってしまう気持ちがあるんだと思います。でも、実際にそこの地域に暮らしている人が動かないと、いくら行政でも限界はあるんです。

後継出来る農地、空き家の貸し出し、移住者の受け入れ、移住者が増えるように魅力的な地域にしていく、それって行政だけの力で出来るものじゃないんです。その地域に暮らしている人だからこそできるんです。そのことに是非、気付いてもらいたいです。

玉城町はもちろんのこと、全国各地でこういった問題を抱えている地域は沢山あります。でも、どの地域も魅力があって、人もあったかくて、きっとあなたのふるさとになります。玉城町はもちろんのこと、少しでも移住や農業に興味がある人は是非いろいろな地域を訪れて、話を聞いてみてはいかがでしょうか?

東京には全国各地の移住情報を得ることができるふるさと回帰支援センターという施設もあります。関東在住の方は、ここで情報を集めてみるのもオススメですよ。私たちも初めはここで情報収集しました!定期的にイベントもやっています。

あおとくるも移住支援を考えていきます!

あおとくるでは、今後、玉城町の地域おこし協力隊の情報が出次第お知らせします。いちごでの地域おこし協力隊は本当に魅力的なのでとってもオススメです。狭い面積で稼げるのになぁ、ほんと(笑)そのほかにも移住の情報はピックアップしていきたいと思っています。

そして、移住や農業に興味がある人は大歓迎ですので、観光も兼ねて気軽にあおとくるに遊びに来てもらえればと思っています。季節によっては、ちょっとした農業体験もできます♪

また各種イベントなどにも呼んでいただければ伺います。なかなか聞きにくいような話も包み隠さずお話したいと思っています。少しでも移住、就農の参考になったり、不安を払拭できれば嬉しいです。たぶん農業の後継者として血のつながりのない農地を継ぐために移住した夫婦って少ないんじゃないかな?実際に後継者として先代とは親子のような関係を築いていっているので、そういったところのお話もできると思います。

2 件のコメント

  • 初めまして。
    永田智紀と申します。現在23歳です。仕事として就農を希望しております。
    非常に興味深い記事を読まさせていただきました。
    真剣に農業を始めようと思っており、全国の農業研修の受け入れ先などを調べていた中で、私の地元に近い玉城町でこのような制度があるとは知りませんでした。
    農業の後継者が減って行く中で、若いうちから農業に携わって今後の玉城町の農業を担って行きたいと思いました。
    この制度に応募しようと思います。

    • コメントありがとうございます!
      こちらの記事が参考になったようで、先に就農した身として、とても嬉しいです。
      玉城町でこちらの制度を担当している方はとても熱心な人なので、面接の際など色々と話をしてみてください。しかも地元に近いだなんて!ご両親の様子を定期的に見に行ける場所の方が安心ですよね。永田さんにとってさらにいい条件!私たちも玉城町にはまた伺おうと思っておりますので、お会いできることを楽しみにしています。
      是非ご応募ください!⇒https://jp.stanby.com/ats/tamakicho/jobs/0000003
      ‘血縁のない者が後継者になれる’未来の日本の農業のためにも、そういった事例が増えていってほしいです。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1987年埼玉県生まれ。早稲田大学で映画を専攻。卒業後は、IT企業の企画営業を経て、某芸能事務所で広報宣伝を担当。現在は夫と共に農作業、古民家の改修を行いながら、ゲストハウスのロゴ制作などデザイン面を担当。無類の猫好き。愛猫あおとくるは目に入れても痛くないほど溺愛。若干あおに煙たがられている。旅好き。あおとくるオーナー代理、主にあおとくるのお世話係。